エベル EBEL
CONCEPT
「時の建築家」を標榜し、ヨーロッパのエスプリの薫り高い時計ブランド、エベル。創業は1911年である。ブランド名は、公私ともにパートナーであった創業者のユージン・ブルムとアリス・レヴィの名前から頭文字をとり(Eugene Blum Et Levy:ユージン・ブルムとレヴィ)、「EBEL」と名付けられている。ユージンは技術的、品質的な面を、そしてアリスは美的なデザインの面で才能を発揮し、婦人用のジュエリーウォッチから男性用の風格ある実用時計まで、<時計>というフィールドで素晴らしい作品を作り上げた。1914年にはスイス・ベルンでのスイス博覧会でエベルの「リングウォッチ」が金メダルを受賞し、この頃から既に、エベルでは時計がジュエリーとして位置づけられていた。1925年にはパリの装飾芸術博覧会でグランプリを受賞、品質とそのデザインで高い評価と広い認知を得たのである。
そして2人の息子、シャルル・ユージン・ブルムの入社で、エベルはさらにその品質と精巧さに磨きをかける。それはビブログラフにさきがける、精度測定装置の独自の発明や、COSC(スイス公式クロノメーター検定協会)の基準強化につながるCTM(時計技術検定)の制定を推進したという姿勢にも表れているだろう。そして第二次世界大戦中には英国陸軍で主たる時計供給メーカーとなり、戦後はヨーロッパにとどまらず国際的な評価を受けるブランドへと躍進して行くのだ。
1970年代にはシャルルの息子、ピエール・アラン・ブルムが社長に就任し、1977年、ケースとブレス一体型の「スポーツクラシック」ライン、そして現在もブランドの大きな柱である「ベルーガ」、「1911クロノグラフ」の発表が続く。そして特に1980年から90年代にかけ、テニスのモンテカルロオープンやゴルフのヨーロピアンマスターズなど、大きなスポーツイベントのスポンサーとして更にその知名度を広げて行った。
そしてエベルといえば、1986年に創業75周年を記念して購入した、ラ・ショー・ド・フォンの<ヴィラ・トゥルク>である。ル・コルビュジェの建築物であり、現在も<エベル・ハウス>として世界中から見学者が絶えない。そして「時の建築家」であるエベルの、PRセンターとして重要な役割を果たしている。
2008年は「ベルーガ」のデザインをリニューアルし、「1911 ディスカバリー」や「1911 テクトン」などのスポーツモデルにも力を入れている。そしてドイツ・バイエルン・ミュンヘンと交わしたオフィシャルタイムキーパー契約や<ヴィラ・トゥルク>の文化遺産保全活動など、他ブランドでは見られない多様な動きにも注目が集まっている。
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